『青嵐の庭に座る「日々是好日」物語』
著者:森下典子
発行所:株式会社 文藝春秋
2021年11月25日 第1刷発行
数年前に同著者のエッセイ『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』を読み、茶道の奥深さに触れました。
私にとって茶道の知識はすべて上記の本から得たと言っても過言ではありません。
大昔に小学校で茶道体験という授業がありましたが、当時は特に楽しみというほどでもなく「足の痺れと引き換えに高そうなお菓子を食べられる機会」くらいの認識でした。
しかし大人になって上記の本を読んでからは旅先の茶室を見学して一服したりすると、なんだかいい気分に浸れて、
なんとなく「あれが今の季節の花か」なんて知った気になって、新しい世界の楽しみ方を得たような気がしました。
さて今回紹介する一冊は『青嵐の庭に座る「日々是好日」物語』です。
こちらの作品は上記のエッセイが映画化した際の著者と周りの人々、そして映画製作に関わる人々との出会いから映画完成後までを綴ったエッセイです。
実は、私はまだ映画を見ていないので先にエッセイを読むのはどうかと思ったのですが(汗)
映画の内容に大きく触れる箇所はなかったので、映画を見る前でも楽しめる作品ではないかと思います。(全く無いということでは無いので、映画のネタバレをしたくない方は先に映画をご覧くださいね)
映画を作るにあたっての経緯や、制作中の人々について、原作の著者であり茶道のシーンを監修することになった森下さんがどのように感じていたかが丁寧に描かれています。
多くの方にとっての見どころは著者と樹木希林さんとのやりとりになるかと思うのですが、私にとってこの本の一番の魅力は、なんといっても著者の綴るエッセイの地の文そのものなのです。
「語り」の部分とでもいうのでしょうか。
読んでいて心地よい、優しい気分になれるのです。
エッセイというよりノンフィクションの小説に近いようにも感じました。
だんだんと著者の感情が染み入ってくる気がします。
映画が完成するシーンでは胸が熱くなり、涙がこみ上げました。
この熱のさめぬうちに映画も見てみたいと思います。

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